あてもなく、黒ちゃん発見の道路付近のお店や病院にたずねてみるが、手がかりなし。
道から奥に入った民家も数件たずねてみる。
出会う人、出会う人にたずねてみる。
黒ネコを飼っているという人の情報を聞いてたずねてみたけど、「うちのネコはいる」との返答。
そう簡単に見つかるはずもないと思い、あきらめながらも付近の人に聞いてまわった。
溝掃除をしているお手伝いさんらしき人にたずねたら、ご主人のおばあちゃんに聞いてくれて、おばあちゃんが近所の奥さんに聞いてくれたら、その奥さんが、隣に黒ネコを飼っていて昨日から帰らないといっている人がいると言う!
そこのうちでたずねたら、初老のご婦人が出て来て、確かに黒ネコが昨日からいなくなっていて、そのネコは歳をとっていて3日ほど前から調子を崩して何も食べていないという。
でも首輪が違うような‥ということだったけど、一応ウチに確かめに来られた。
ウチに来て黒ちゃんを抱き上げたとたん、黒ちゃんがすごい声で泣き出した!
あきらかに今までの泣き声と違う!
たぶん間違いないと思うけど、ご主人に見せて確かめたいということで、一緒にご自宅にネコを連れて戻った。
出てきたご主人がひと言「間違いない!首輪もこれだ!」と言う!
もう奇跡だと思った!
ついに飼い主を見つけ出した!
ご主人が病院に連れていこうと思って探した時にはもういなくなっていたらしい。
普段はだいぶ先の国道までネコが行くことはないらしいのだけど食べなくなったネコに、無理やり牛乳を飲ませようとお皿に頭を押し付けたら、怒って家出したらしい。
少しボケて徘徊してしまったのかもしれないと思った。
ご主人はあきらめて、ろうそくを立ててお祈りまでしていたという。
みんなで大喜びした。
病院での結果を説明して、その後にもう一度昨日買ったトイレやエサ、ブラシや毛布などを届けに行った。
とにかくお礼をしたいと言われたけど、黒ちゃんを飼い主さんに返せて喜んでもらえただけで十分だったのでお断りしたら、1万円とハムを持って奥さんが追い掛けて来られたので受け取った。
できれば元気な姿で返してあげたかったけど家出前からもうかなり弱っていたらしい。
何日も放浪していたかのような汚れ方だったけど、家を出て数時間後だったみたい。
口の中が痛くて自分で毛づくろいも出来ていなかったみたいだし、外が大好きなネコだったから結構汚れていたのかも。
何より、老衰で死ぬ前だったのでボロボロだったと思われる。
とにかくこれで黒ちゃんは自分の家で死ねるのだ。
今はもうコタツで寝ているという。
本当にうれしくって涙が出た。
ちなみに黒ちゃんの本当の名前はクロチビちゃん。
たった1泊だったけど、クロチビちゃんがいなくなって1階はちょっと寂しくなった。